裁判手続について

ある日突然、皆さんのお手元に「訴状」が届いたとしたら・・・

そんなときは慌てずに、すぐに司法書士にご相談ください。
司法書士は、あなたのために、裁判所に原告として訴えを提起したり逆に被告として訴えの内容に反論したりする場合などに必要な訴状や答弁書などの書類を作成します。また、その他、相続放棄の申述、遺産分割や離婚調停の申立書、破産・民事再生などの書類、さらに家事審判手続(後見・保佐・補助開始の審判等)や保全、差押手続等に関する書類も作成します。
あなたがご自分で裁判をしようとするとき、司法書士はあなたのお話をじっくりと聞き、どんな手続きがいいのか、どんな手続きが必要なのかアドバイスし、納得のいく解決ができるようにサポートします。
 また、平成15年から法務大臣の認定を受けた司法書士は、法令で定められた範囲(訴額が140万円まで)の簡易裁判所を管轄とする裁判、調停、和解の手続を、あなたの代理人として、あなたに代わって法廷で弁論するなど、様々な裁判上の手続きを行います。

よくあるご質問

Q1.裁判所から「訴状」という書類が届きました。どうしたらよいでしょうか?▼Q2.自筆で書かれた遺言書を見つけました。どうしたらよいでしょうか?▼Q3.父が債務を抱えたまま亡くなりました。父の債務は私が返済しなければいけないのでしょうか?▼Q4.借金を返すことができなくなったのですが、どうしたらよいでしょうか?▼Q5.貸したお金を返してもらえません。どうしたらよいでしょうか?▼Q6.訴訟を起こさずに裁判所で話し合いたいのですが、どうしたらよいでしょうか?▼Q7.裁判をしたいのですが、費用が準備できないときはどうしたらよいですか?▼

Q1. 裁判所から「訴状」という書類が届きました。どうしたらよいでしょうか?

A1. 裁判所から訴状が届いたにもかかわらず、何もせずにそのまま放っておくと、相手方の言い分について争わないものとみなされ、全て認めたことになってしまいます。仮に、その内容について全く身に覚えがない場合であっても同様です。裁判所から訴状が届いたら、内容をよくお確かめの上、お近くの司法書士または司法書士会に早急にご相談ください。

Q2. 自筆で書かれた遺言書を見つけました。どうしたらよいでしょうか?

A2. 遺言書の方法には大きく分けて3つの方法があります。「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」の3つです。公正証書遺言以外の方法で作成された遺言書の全てについては検認手続を行わなければなりません。検認とは、遺言書の形式態様等の方式に関する事実を調査し、遺言書の現状を確保するための手続です。遺言書は被相続人の最終意思が書き記されたものですから、後日遺言書が偽造等で書き換えられないようにするために行う手続です。公正証書遺言以外の方法で作成された遺言書を家庭裁判所の検認手続を受けないで遺言手続きを実行した場合、罰金が科されます。また、遺言書の中に不動産に関する記載がされていた場合、登記手続きが必要ですが、検認を受けていない遺言書では登記手続きができません。また、金融機関も同様に検認を受けていない遺言書での手続きは行ってくれないでしょう。検認手続は、各管轄の家庭裁判所に申立を行います。
 被相続人の最終意思である自筆で書かれた遺言書の記載内容を実現するためには、検認手続を経なければなりません。司法書士はこのような検認手続について、家庭裁判所へ提出する書類を作成することができます。もちろん、ご自分で作成し、提出することも可能ですが、作り方がよくわからない、必要書類として何が必要かわからないなどでお困りの方は、ぜひお近くの司法書士または司法書士会にご相談ください。

Q3.父が債務を抱えたまま亡くなりました。父の債務は私が返済しなければいけないのでしょうか?

A3.相続が発生し相続人になると、亡くなった人(被相続人)が有していた権利(積極財産)及び義務(消極財産)の一切を承継することになります。もちろん、被相続人がお金を借りていたのであれば、これを返済する義務も承継します。積極財産だけ受け取って、消極財産は受け取らないということはできません。しかし、積極財産が消極財産よりも多ければ、これらの財産を換金し清算することもできますが、明らかに消極財産が多い場合には相続放棄が考えられます。相続放棄とは、法に定められた方式に従い、被相続人が遺した財産(積極財産及び消極財産の双方をいう)を一切承継しない旨の意思表示を行うことをいい、相続放棄をした者は初めから相続人でなかったものとなる制度です。一般的には、積極財産より消極財産が明らかに多い場合にこれらを承継したくないときに利用します。相続放棄がなされると、被相続人と取引をしていた人に多大な影響を及ぼすことになります。したがって、相続放棄は家庭裁判所に対する申述による方法でしか行うことはできません。
また、相続放棄はその効果は大きく、受ける利益及び不利益も考えなければなりません。ご自分で相続放棄に必要な書類を作成し、相続放棄を行うことも可能ですが、その効果の大きさから相続放棄を行うべきか否かを慎重に検討しなければなりません。しかも、申述できる期間は大変短いので、相続放棄についてお考えの際は、お早目にお近くの司法書士または司法書士会にご相談ください。

Q4.借金を返すことができなくなったのですが、どうしたらよいでしょうか?

A4. 借金の法的整理手続としては、自己破産、個人民事再生、任意整理、特定調停が考えられます。任意整理以外の整理方法は、裁判所における手続となります。自己破産や個人民事再等の申立書はもちろん、ご自分で作成し、提出することも可能ですが、それぞれの解決方法にはメリットとデメリットがあります。あなたの生活状況、返済能力、借り入れの経緯等から総合的に判断することになります。
どの手続きをとればいいかよくわからないなどでお困りの方は、ぜひお近くの司法書士または司法書士会にご相談ください。

Q5.貸したお金を返してもらえません。どうしたらよいでしょうか?

A5.この場合に考えられる法的手続としては、一般的に、通常の民事訴訟手続のほかに、少額訴訟手続、民事調停手続、支払配督促手続が考えられます。
【1】通常の民事訴訟手続とは
当事者間の法的な紛争がある場合に、裁判所に紛争の解決を求める手続です。訴訟の途中で和解により解決することも出来ます。例えば今回のような貸金の返済請求や不動産の明渡請求などを求める訴えなどがあります。訴状という書類を作成して裁判所に提出することから手続が始まります。
【2】少額訴訟手続とは
上記①の通常の民事訴訟手続の内、60万円以下の金銭の支払を求める訴えについて、原則として1回の審理で紛争を解決する特別の手続です。簡易裁判所においてのみ行われ、原則として、1回の期日審理で判決の言渡しがされるので、時間をかけずに紛争を解決することができますが、一方で、最初の期日までに自分の主張と証拠を全て裁判所に提出する必要があります。
【3】民事調停手続とは
調停は訴訟と異なり、裁判官のほかに一般市民から選ばれた調停委員2人以上が加わって組織した調停委員会が仲介者として、お互いの言い分を聴き、当事者の納得できる範囲で歩み寄りを促し、当事者の合意によって解決を図るための手続です。
調停は、訴訟ほどには手続が厳格ではないため、誰でも簡単に利用できるうえ、当事者は法律的な制約にとらわれず自由に言い分を述べることができるという利点があるので、幅広く利用されています。
 民事に関する法律がからんだ争いごとについてであれば、どの様な紛争でも調停を申し立てることが出来ます。調停が成立すると確定判決と同じ効力が与えられます。
【4】支払督促手続とは
金銭等の支払いを請求する場合に利用できる手続きで、訴訟よりも迅速に行うことができます。書類審査のみなので通常訴訟の場合のように裁判所に出頭する必要はありません。ただし、相手方からの言い分を一切聞かずに発せられるため、相手方は無条件に異議を述べることができ、異議が述べられると、通常訴訟手続に移行します。
 上記全ての手続は、ご本人が代理人を選任せずに自分自身で行うことも可能です。しかし司法書士は、裁判所に提出する書類の作成を通じて本人訴訟などの各種裁判手続を行うご本人を支援する業務を長年にわたって行ってきました。また平成15年から簡裁代理権の認定を受けた司法書士であれば訴訟の目的となる物の価格が140万円を超えない請求事件に限り、この範囲において、例えば、訴えの提起、支払督促、民事調停、少額訴訟手続等の代理人となることもできます。少額のトラブルについてすべて任せたい、裁判所に提出する書類の作成や裁判手続の流れについて司法書士のサポートを受けながら自分で裁判をしたいという方は、ぜひお近くの司法書士または司法書士会にご相談ください。

Q6.訴訟を起こさずに裁判所で話し合いたいのですが、どうしたらよいでしょうか?

A6. 民事調停は、民事に関する紛争について第三者を交えて話合いで解決を図るための手続で、訴訟と比べて、次のような特色があります。
・裁判官のほか一般市民から選ばれた調停委員を交えて話合いをし、常識的な解決方法を考えることが期待できる。
・訴訟に比べると手続が簡単で、柔軟な解決が得られやすい。
・合意に達してその内容が書面(調停調書)にされた場合には、訴訟によって判決を得たときと同様の効力をもつことになる。
・手続は非公開とされているので、秘密を守ることができる。
 民事調停は、訴訟に比べると法律知識をそれほど必要としない手続です。しかし、複雑な事案とか専門知識を要求される事案などでは、やはり専門家のサポートを得た方がよい場合もあります。司法書士は、訴状や調停申立書など裁判所に提出する書類の作成をしたり、依頼者の代理人として裁判所に出頭したりすることができます(ただし、代理人となることができるのは、訴額140万円以下の事件に限られます)。法律問題について、専門家のサポートが必要となったときは、お近くの司法書士または司法書士会にご相談ください。

Q7.裁判をしたいのですが、費用が準備できないときはどうしたらよいですか?

A7.法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助の制度を利用してください(資力等に関する一定の条件はあります)。民事法律扶助とは簡単に説明しますと、いったん、法テラスが法律専門家に対し、報酬などの立替払いをして、依頼者は、分割して法テラスに返してゆくという制度です。あくまで立替払いなので、後々返していかねばなりませんが、収入が少ない方に配慮した報酬基準が設定されています。法律専門家は法テラスから立替払いを受けますので、気兼ねはいりません。「お金がないから、専門家に頼めない。」と、あきらめずに、ぜひご利用下さい。
法テラスホームページ http://www.houterasu.or.jp/

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